不動産の2025年問題とは
2025年02月11日
不動産の2025年問題、という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人口の減少や高齢化に伴い、不動産の価値や需要が大きく変動する可能性があるため、不動産物件を所有している方は注意が必要です。
今回は、2025年問題とは何か、社会情勢や法改正も含めて解説します。
2025年問題はどのような影響があるのか、また今後の不動産市場の動向や売却のタイミングを考える判断材料となれば幸いです。
||2025年問題とは何か||
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるために、日本の社会や経済に多大な影響を与える問題のことです。
団塊の世代とは、第一次ベビーブーム期に生まれた人口の多い世代(1947年〜1949年)のことで、2025年になるとこの世代が75歳以上となります。
内閣府が発表した令和5年版高齢社会白書によると、総人口に占める65歳以上の人口は29%、75歳以上の人口は15.5%となります。
2025年には75歳以上の方が3,653万人に達すると見込まれ、国民の5人に一人が後期高齢者になると予測されており、高齢化は避けられません。
日本は出生率が年々減少しており、すでに人口は減少を続けています。では、2025年問題でどのような影響があるのでしょうか。
1.医療費・社会保障費の増加
後期高齢者の増加により、医療費や介護費用が急増することが懸念点です。
そうなると、現役世代の負担が大きくなって経済的に困窮したり、社会保障制度自体の持続が困難になる可能性があります。
2.人材不足
労働力となる人口が減少し、人材不足が深刻化します。
特に、介護や医療の分野では人手不足となり、サービスの質や量の確保が難しくなる可能性があります。
3.空き家の増加
高齢者が亡くなったり、施設に入ると空き家が増加することが懸念されます。
特に地方では空き家問題が深刻化しています。
4.不動産価格の下落
空き家や相続の増加で、不動産市場が供給過多となり、不動産価格が下落する可能性があります。よって資産価値が減少し、特に地方の不動産価値が大きく下がると言われています。
5.都市部の過密化、地方の衰退
高齢者が利便性を求めて都市部へ移住するケースも多いです。
都市部の人口が増加し、さらに過密化が進みます。
一方で、地方では人口減少がさらに加速し、地域経済衰退の要因となります。
以上のように団塊の世代が後期高齢者となると、様々な社会問題が起きてきます。
これらの課題に対応する対策が求められています。
||不動産市場で起きるとされる問題とは||
1.空き家の増加
2025年問題で不動産関連があるものは、空き家の増加がまず挙げられます。
空き家の数は現在右肩上がりに増加しており、2023年には900万戸と過去最多であり、また総住宅数に住める空き家の割合は13.8%で、7軒に1軒が空き家です。
不動産が空き家になる理由の一つは、相続人がその不動産を利用しない場合が多いからでしょう。相続人が都市部に住んでいる場合、地方や郊外の不動産は利用価値が低くなりがちです。
維持管理が困難で、放置されて空き家になってしまうケースが多いです。
高齢化が進み住人が亡くなったり、相続で所有者不在の物件が増えることも背景にあります。
相続人が複数の場合、遺産分割の協議が難航し、結果として不動産が適切に管理されないまま空き家として残ることもあります。
特に地方では人口減少が著しく、若年層の流出が続いているため、空き家問題はより深刻化しています。空き家が増加すると、地域社会でも問題が発生します。管理が行き届かない空き家は、防犯上のリスクや景観の悪化、害虫・害獣の発生などの問題を引き起こし、地域の住環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
空き家が増えることで周辺の不動産価値が下がり、地域の経済活動にも悪影響があります。2025年問題により、空き家の増加が一層進むため、対策が求められています。
2.相続不動産の売却が増加
相続不動産の売却が増加する点も問題です。
2025年を迎えると、多くの不動産が市場に売り出され、不動産の数も増えるでしょう。
相続不動産が売却される理由として、相続税の支払いが挙げられます。
相続税の納税義務が生じた場合、支払いを現金でする必要があります。もしも現金が不足する場合は、不動産を売却して資金確保する方も多いです。
不動産市場に出回る不動産の数が増えると、供給過多となり、特に地方や郊外の不動産価格が下落し経済に悪影響を及ぼす可能性があります。
人口の減少が著しい地方では、需要が下がり、売却が難しい不動産が増える点も問題です。対策としては、相続不動産をリノベーションをして賃貸物件として活用したり、地方移住の促進、さらに空き家の再利用を促進するための補助金や税制優遇措置を拡充し、地域の不動産市場を活性化させる取り組みも必要です。
3.不動産価格の格差の広がり
団塊の世代が75歳以上となると、多くの不動産が相続され、不動産市場に出回るようになりますが、不動産の売れやすさを二極化させる原因です。
都市部の不動産は引き続き高い需要がありますが、一方で地方や郊外の不動産は需要が低迷する傾向にあります。
人口減少が進み、若年層が都市部に流出し続けるため、地方の不動産市場は厳しい状況に直面します。相続により不動産市場に出される不動産が増えることで、供給過多となり、不動産価格が下落するでしょう。
さらに、高齢者が大きな一軒家を手放し、利便性の高いコンパクトな住居に移ると、地方の大きな住宅が売れ残るリスクも高まります。
都市部は人口集中と利便性の高さから需要が集中し、不動産価格が維持されやすい一方、地方や郊外は人口減少と高齢化の進行により需要が低下し、不動産価格が下落するリスクが避けられません。結果として、不動産市場では都市部と地方の価格格差がより広がると予想されます。
このように、2025年問題が進むに連れて、様々な悪影響が出てくることは避けられません。
柔軟かつ持続可能な解決策を見つけていくことが必要です。
次の記事では、2025年問題で不動産の価格はどうなっていくのか、また売却するタイミングについて解説していきます。