不動産価格の下落と不動産売却のタイミング
2025年02月22日
前回からの続きです。
2025年問題について、前回は「2025年問題とは何か」「起こりうる問題とは」について解説しました。
今回は、2025年問題において、不動産価格がどう変化するのか、そしてその問題について不動産を売却するタイミングについて解説していきます。
||2025年問題で大暴落は起きるのか||
不動産価格の大暴落が懸念されていますが、結論から言うと急に大暴落することはないでしょう。
理由としては、人口の減少や少子高齢化、空き家問題などすでに始まっていることだからです。
団塊の世代が75歳以上となる2025年を迎えると高齢化は加速しますが、予測もされていました。
また、高齢者の数が急激に何倍も増えるわけではないので、不動産市場に対する影響も徐々に表れると考えられます。
空き家問題に関しては、相続不動産が増え、売却が増加し市場に出回る不動産の供給が増えるのは確かですが、これもすでに起きている状況の延長線上にあります。
不動産の供給が増え、不動産価格が下落するリスクはありますが、進行は団塊的です。
供給過多が予想される中で、不動産価格が下がる点は避けられませんが、すべての不動産が一律で下落するわけではなく、地域や物件の特性に応じた価格変動が見られるでしょう。
これに対応するためには、政府や自治体が地域ごとの特性を踏まえた対策を立てる必要があります。
||不動産の売却のタイミング||
不動産売却のタイミングを判断する際、住宅ローン金利の動向に注目する点が重要です。
2024年3月に、日本銀行が長らく続けてきたマイナス金利政策が終了しました。
この政策転換により、住宅ローン金利が上昇する可能性が高まっています。
現在の住宅ローン金利は、まだ大幅な値上げがおこなわれていません。
しかし、マイナス金利の終了で、今後は金利が徐々に上昇すると予想されます。
金利が上昇すると、住宅ローンを利用する買い手にとっては、借り入れコスト増加は避けられません。
そのため、不動産購入の際の負担が大きくなり、購入を検討する人々の数が減少する可能性があります。
買い手の需要が低下すると、売却価格も下げざるをえなくなってしまうでしょう。
次に、金利上昇前の低金利の環境の場合なら、買い手はより多くの資金を借り入れ、予算を大きくします。
そのため、売り手にとっては有利な価格で不動産を売却しやすい状況が整っています。逆に、金利が上昇しはじめると、買い手の資金調達能力が低下し、交渉力を強めなければなりません。
そうなると、売り手にとっては売却価格が抑えられるリスクが高まります。
2025年に懸念される不動産市場の問題を考慮すると、あらためて住宅ローン金利の動向に注目する点が、売却タイミングを判断するにあたって重要です。
現在の低金利環境を活用し、早めに売却を検討すると、納得のいく売却ができる可能性が高いでしょう。
||控除特例の適用期限で判断する||
物件を売却する時は長期保有しているほうが節税になる場合がありますが、
空き家や相続した不動産の売却では、取得から3年以内に売却すると節税に効果があります。
それは特例を活用するためで、譲渡所得税の負担を減らし、手元に残る売却益を最大にできます。
例えば、空き家に関する特例では「空き家に係る譲渡所得の特別控除」があります。
この特例は、親から相続した空き家を一定の要件を満たしたうえで売却する場合に適用されます。
具体的には、被相続人が住んでいた家屋を相続し、その家屋を取り壊すか、または耐震リフォームをおこなってから売却する場合、3,000万円の特別控除を適用できます。
しかし、この特例が適用されるのは、相続から3年以内に売却を完了する場合です。
この期間を過ぎると特例が適用されず、譲渡所得税の負担が大きくなる可能性があります。
特例を活用するためには、相続後の早い段階で売却の計画を立てておきましょう。
特例の適用期間内に売却を完了すると、税負担が軽減され、より多くの売却益を手元に残せます。
特例を活用したい場合は、相続から期限があることを意識した行動が重要です。
さらに、税制は将来的に変更される可能性があるため、現行の特例が適用されるうちに売却を進めるほうが良いでしょう。
いかがでしたか。
空き家や相続した不動産の売却は、取得から3年以内の控除特例が適用される期間内に実施するのが、最適なタイミングです。
この期間を見逃さず、計画的に売却を進めるようにしましょう。