空き家を売るか貸すか。それぞれの注意点
2026年08月08日
空き家を所有している方はいませんか。
例えば、親から実家を相続したが、空き家のままにしている。
現在の住まいがあるため、空き家は使用しない。
遠方にあるため、管理するのが難しい。
このような状況に当てはまる方がいましたら、ぜひ一読いただきたい内容です。
実は空き家をそのままにしていると、法律面や税金面、近隣トラブルなどの様々なリスクが発生します。
特に近年は制度改正が続き、空き家を放置すると問題が起きやすいです。
今回の記事では、最新の制度も踏まえて、空き家の処分方法とリスクについて、次回の記事と2つに分けて分かりやすく解説します。
現在空き家を所有している方や、将来的には空き家を相続する予定がある方はぜひ最後までご覧ください。
||空き家を売る時と貸す時の注意点||
1.売却
空き家を売却する方法は大きく2つに分けられます。
・更地にして売却
空き家を解体し、更地の状態にして売却する方法です。
築年数が古く建物が老朽化していて、柱や壁などの躯体が傷んでいたり、多額のリフォーム費用がかかると思われるケースは、基本的に解体を解体して売りに出すことになります。
⚫︎更地で売却することのメリット
・買い手がつきやすい
建物も敷地内もきちんと管理が行き届いていないと、土地を探している人からすると、「悪いイメージが先行」「敷地全体のイメージがつきにくい」などの理由で売れにくくなることがあります。
更地にすることで敷地全体を見渡すことができ、住むイメージが湧きやすくなるため、買い手がつく可能性が高まります。
更地にした後の雑草処分もした方がいいでしょう。
・火災などのリスクが減る
建物がないため、放火や火事によるリンチへの損害も心配ありません。
建物にかけていた火災保険料も必要がなくなります。
・税制優遇の可能性
一人暮らしの親から相続した実家を更地で売却すると、『相続空き家の3,000万円特別控除』という、売却時の税負担を単独所有と2名共有までは1人当たり最大約600万円(3名以上共有は一人当たり最大約400万円)減らせる税制上の特例が使える可能性があります。
下記の2点が代表的な適用要件です。
・昭和56年3月31日以前の建物である
・耐震補強をする、または更地で売却をする
耐震補強については、コストがかかるため、更地にして当該の特例を使うケースが多いです。
⚫︎更地で売却することのデメリット
・コストがかかる
建物の解体や私物などの残置物処理の費用を用意する必要があります。
解体費用の目安としては、建物が何でできているかで決まります。
・木造家屋 1平米あたりの坪単価:約3万円
・鉄筋家屋 1平米あたりの坪単価:約6万円
他にも、道路の幅や外構、アスベストの有無などによっても費用は変わってきますので、事前に買いたい業者への見積もりをしておきましょう。
解体費用の他に、私物等の残置物の処理代は、床面積100㎡で私物や家財等がそのままの場合は、100万円~150万円程と思っておくと良いでしょう。
・不法投棄の可能性
空き缶や家電製品などを不法投棄されることがあります。
その際、近隣住民からの苦情や撤去費用の負担などが発生します。
部外者が敷地に入れないようにロープを張る、不法投棄者発見時の対応を看板に書いておく、人感センサーライトを付ける、などの対策も考えておきましょう。
・固定資産税が高くなる
更地にすると固定資産税額が4倍近く上がります。
住宅用地は、特例で固定資産税が軽減されています。
空き家も対象ですが、建物を解体して更地になると軽減措置を受けられません。
ですが実際には、更地にした翌年の1月1日時点で更地のままになっていると、その年(1年間分)の固定資産税が上がるということになります。
(例)2026年8月に建物を解体し更地にした場合
2027年1月1日時点でも更地のままだと、2027年分の固定資産税が上がります。
(2026年中に解体、2027年に建築の予定がある場合は、あらかじめ管轄役所の固定資産税課に相談のうえ、「2026年1月時点は更地だけど建築申請すれば固定資産税を住宅用地としてみなせないか」とご相談してみてください)
2027年1月末に建物を解体し更地にした場合。
2027年1月1日時点では住宅用地(建物が立っている土地)なので、2027年分の固定資産税は上がりません。
コストを抑えるために、空き家を更地にするタイミングも意識して進めることが大事です。
・建物ごと売却する
空き家を解体せず、現状のまま売却する方法です。
例えば築年数が浅い場合は、建物がまだ使えるため現状で売却ができるでしょう。
⚫︎現状引き渡しのメリット
・解体費用が0円
解体せずそのまま引き渡しのため、解体費用を用意する必要はありません。
私物などの残置物の撤去費用は必要となります。
・固定資産税が上がらない
住宅用地(建物が立っている土地)のため、管理を怠らなければ固定資産税が上がる心配はありません。
⚫︎現状引き渡しのデメリット
・契約不適合責任リスクの可能性
不動産を引き渡した後に、建物や設備等に不具合が発見された場合、買主から契約不適合責任を問われ、損害賠償等を負うことがあります。
例としては、アスベストの発見、柱など建物の躯体が腐敗、シロアリの害、給湯器の破損などです。
・買い手が限定
建物の間取りや設備スペックなどを要因として、買い手がつきにくくなることがあります。
間取りを大きく変えられるかどうか、改築リフォームできるかどうかも重要です。
現状のまま売却するときは、検討材料として竣工図など建物情報を開示できるよう準備しておきましょう。
また、そのため近年は「インスペクション(建物状況調査)」を活用し、リスクを事前に見える化するケースが増えています。
2.賃貸、有効活用
空き家を賃貸したり、空き家を解体し賃貸用の建物(アパート等)を建てたり、収益を得たりする方法です。
賃貸や有効活用をするときは、いくらで貸せるのか、建物のリフォーム等にどのくらい費用をかけるべきか、周辺マーケットを調査した上で取り組む必要があります。
また、2026年時点では地方自治体の補助金制度も拡充傾向にあり、リフォーム費用補助・空き家改修支援なども活用できるケースがあります
賃貸する時の注意点
生前または相続後に賃貸してしまうと「相続空き家の3,000万円特別控除」は、適用できなくなるため注意が必要です。
将来的に売却を考えているようでしたら、賃貸と売却する場合の収入などを検証した上で実行することをお勧めします。
いかがでしたか。
空き家を所有している方は、今後どのようにしていくかのイメージが湧いてきたでしょうか。
迷われている方や不安な方は、一度専門家にご相談してみることをお勧めいたします。
