住宅ローンの返済が厳しいときにどうするか
2026年07月31日
昨今、様々なケースで住宅ローンの返済が難しくなるケースが増えています。
新型コロナウイルス感染拡大時の2020年春には、住宅金融支援機構への返済相談件数は1,000件を超したと言われています。
また、近年は食品などの値上げが毎月顕著に行われているなど、家計を逼迫することが増えています。
勤め先の業績悪化や倒産などで「ローンが払えない」という相談が各地で相次ぎました。
今回は、住宅ローンの返済が厳しくなった場合にはどのような対処法があるのかをご紹介します。
今悩んでいる方、今後少しでも不安をなくしたい方はぜひご一読ください。
||早めに相談をする||
住宅ローンの返済が厳しくなりそうな場合は、滞納する前に金融機関に相談しましょう。
早期に相談すれば、金融機関も状況を理解した上で、返済条件の見直しや一時的に元金の返済猶予をしてくれるなど、柔軟な対応に応じてくれる場合があります。
金融庁からの要請もあり、金融機関は状況に応じて返済額の減額や返済猶予など柔軟な措置を取ってくれる可能性があります。
一度滞納してしまうと信用情報にも傷が付くため、「払えそうにない」と感じた時点で早めに金融機関へ相談しましょう。
銀行に支払いを待ってもらう流れ
金融機関に支払いを待ってもらう場合の一般的な流れをご紹介します。
まず相談の前に、ご自身の現在の収入状況や今後の見通しを整理し、どのように返済負担を軽くしたいかを考えます。
選択肢としては、返済期間を延長してもらう、一定期間の返済額の減額、元金据え置きなどがあります。
それが決まれば、借入先の窓口や電話で返済条件変更の相談をします。
現在の収入・家計の状況、新しい返済計画について協議し、正式に返済方法変更の申請を行います。
その後、金融機関による審査が行われ、問題なければ契約内容の変更手続きへと進みます。
審査には収入証明書など一定の書類提出が必要ですので、事前に確認のうえ準備しておきましょう。
||返済猶予の主なパターン||
先にも書いたように、返済期間を延長してもらう、一定期間の返済額の減額、元金据え置きなどがあります。
詳しくそれぞれ見ていきましょう。
返済期間を延ばし、月々の負担を減らす
例えば当初の返済期間が25年だったものを35年に延ばせば、月々の支払額を大きく抑えることが可能です。
ただし返済期間が長くなる分、利息を支払う期間も延びるため総返済額は増加する点に注意しましょう。
また、延長には完済時の年齢上限が設定されています。
無理のない返済額に減らせても、完済時に高齢になりすぎないよう計画する必要があります。
一定期間、返済額を減らしてもらう
一時的に毎月の返済額を減額してもらい、その期間終了後に元の額に戻す方法です。
収入減が一時的で将来的に回復が見込める場合に有効でしょう。
例えば「来年には収入が元に戻る見込みがある」など、将来的な改善が期待できるケースに適しています。
減額期間中は家計に余裕が生まれますが、その分不足した元金の返済を後で埋め合わせる必要があるため、期間終了後には月々の返済額が増えたり返済期間が延びることもあります。
適用期間終了後にきちんと返済を続けられるか、事前にシミュレーションしておきましょう。
ボーナス返済額の変更
これは設定している人のみ有効ですが、ボーナス月の負担を軽減する変更も可能です。
ボーナス払いの月を変更したり、ボーナス月の支払額を減らし、その分を毎月払いに振り返るなど、ボーナス払いの配分割合を見直すことができます。
ただし、ボーナス分を減らせばその分毎月の返済額が増えるか、返済期間を延長する必要があります。
変更後の返済計画で無理がないか、よく確認が必要です。
元金の支払いを待ってもらう
一定期間元金の返済を据え置き、利息のみ支払う猶予措置です。
コロナ禍を受けて多くの金融機関が導入した救済策で、返済額を大幅に圧縮できるため家計の立て直しに役立ちます。
元金据え置き期間中はローン残高が減らないため、猶予終了後に返済負担が増えてしまう点は認識しておきましょう。
据え置き可能な期間は各金融機関や個々の事情によりますが、半年~1年程度がひとつの目安で、状況によって最長2年程度まで延長されるケースもあります。
フラット35の場合は最長3年間の元金据え置きが設定されています。
猶予を待ってもらえる期間としては、金融機関によってケースバイケースですが、目安として返済期間の延長は最長15年(ただし完済時年齢80歳以内・借入期間35年以内に収まる範囲)といった上限が示されています。
民間の住宅ローンでも、一時的に利息のみの支払いを半年~1年程度認め、その後の状況に応じて延長する対応が一般的です。
||国の支援制度||
厚生労働省の生活福祉資金貸付制度など公的支援を検討しましょう。
低所得世帯や障害者・高齢者のいる世帯を対象に、各地の社会福祉協議会を通じて生活資金を無利子または低利で貸し付けてもらえる制度です。
借りた資金で一時的にローン返済に充てることも可能ですが、あくまで応急措置に過ぎないため、並行して根本的な収支改善策を講じることが大切です。
||NG行為||
返済が苦しいといっても、誤った対処をすると状況が悪化する可能性があります。
無断で滞納する
絶対に避けるべき行為です。
たとえ一度の滞納でも遅延損害金というペナルティが発生します。住宅ローンでは多くの場合、年利14%〜15%程度という高い利率が設定されています。
度も滞納を繰り返すと金融機関から「返済の意思なし」とみなされ、信用情報(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録される恐れがあり、延滞の記録は5年間残ります。
さらに無断滞納が長期化すれば連帯保証人への請求や、分割払いの猶予も認められなくなります。
最終的には自宅が競売にかけられるリスクも高まります。そうなる前に必ず金融機関へ相談し、適切な手を打つことが大切です。
他社から借り入れをする
次に住宅ローン返済のために新たな借金をすることです。
他のクレジットカードのキャッシングや消費者金融から資金を借りてローン支払いに充てても、根本的な解決にはなりません。
むしろ住宅ローンより金利の高い借入を増やしてしまい、月々の利息負担が急増して家計がさらに悪化する恐れがあります。
その場しのぎで借りた結果、多重債務に陥ってしまうケースもあります。
唯一例外的に考えられるのは、現在より低金利で返済条件の良い住宅ローンに借り換えることですが、失業や収入減少で返済が厳しい状況では新規ローンの審査も通りづらいのが現実です。
安易に別の借金で凌ぐのではなく、前述のように返済条件の変更や公的制度の利用など根本的な解決策を模索しましょう。
||最終手段||
金融機関に相談して返済猶予をしてもらった後でも返済が難しい場合のために、最終的な手段としていくつか検討すべき対処策をご紹介します。
任意売却
競売にかけられるのを避けるため、自宅を任意売却または通常の方法で売却することも選択肢に入れます。
まず、住宅の時価がローン残高以上であれば、早めに一般の不動産市場で売却してローンを完済する方法が有効です。
市場で通常売却すれば時間に余裕を持って売却活動ができ、納得のいく価格で売却できる可能性があります。
売却代金でローンを全額返済できれば残債も発生しません。
一般的に家を売却するには3~4ヶ月程度かかるといわれていますので、売却を検討するなら滞納が深刻化する前に早めに不動産会社に査定を依頼しましょう。
なお、住宅の市場価値がローン残高を下回る場合は通常の売却では完済が難しいため、任意売却も視野に入れる必要があります。
任意売却とは、債権者(金融機関)の同意を得て、滞納中の住宅ローン物件を市場で売却する手続きです。
競売に比べ高値で売却しやすく、情報が公開されないためプライバシー面でも安心というメリットがあります。
売却額でローンを完済できなかった場合、その残債務は売却後に分割で返済を続ける必要があります。
任意売却を成功させるには金融機関との交渉や専門的な手続きが伴うため、経験豊富な専門支援機関のサポートを仰ぎましょう。
多重債務がある場合
住宅ローン以外にも多額の借金(カードローンや消費者金融など)があり、返済が立ち行かなくなっている場合には、法的手続きである個人再生(個人債務者再生)を検討する方法もあります。
個人再生は裁判所に再生計画案を提出し、借金の元本を大幅減額してもらい、原則3~5年で分割返済する制度です。
この手続きで住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すれば、住宅ローン以外の借金だけ減額してもらうことが可能です。
他の返済負担が軽くなれば住宅ローンを払い続けやすくなり、自宅を手放さずに済む可能性があります。
専門家へ依頼する費用や手間はかかりますが、他に打つ手がない多重債務状態であれば検討の価値があるでしょう。
高齢者向け:リバースモーゲージの活用
自宅を担保に金融機関から融資を受け、契約者の生存中は利息のみ支払い、元金は亡くなった後に自宅売却で一括返済するという仕組みです。
毎月の返済負担を大幅に減らせますが、利用には年齢や自宅評価額など一定の条件があるため、家族ともよく話し合った上で検討しましょう。
いかがでしたか。
住宅ローンの返済が厳しくなった場合でも、1人で悩むことなくまずは早めに金融機関や専門家に相談することが可能です。
今回ご紹介したように、返済額の軽減策から公的融資制度、売却や法的整理まで対処法は様々です。
早期に適切な手を打てば、競売という最悪の事態を避け、生活再建のための時間を稼ぐことも十分可能でしょう。
適切なサポートを受けながら、無理のない返済計画への修正と生活再建を目指しましょう。
