相続した土地を売却したときの節税方法

2023年08月10日

前回の記事では、相続した土地を売却する際にかかる税金をお伝えしました。

今回の記事では、相続した不動産を売却する時にできる節税方法をお伝えしていきます。

 

 

相続した土地の売却では、特例や控除を利用することで節税ができます。

主な特例や控除には次のようなものがあります。

 

 

・相続税義務者の場合の取得費用加算の特例

・相続空き家を取り壊した場合の3,000万円控除

・平成21年・22年に取得した土地の1,000万円控除

 

それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

 

 

||相続税取得費加算の特例||

 

相続税取得費加算とは何かというと、相続や遺贈で取得した不動産を売却した場合、相続税のうちの一定額を取得費として加算できるという特例です。適用するための要件は下記の3点です。

 

 

・相続もしくは遺贈で取得した不動産であること

・相続を開始した日の翌日から3年10ヶ月以内の売却であること

・相続税を支払っていること

 

以上を満たしていれば、取得費加算額を取得費に計上できます。

 

 

取得費加算額=相続税額×売却不動産の課税額÷相続した財産の合計額

 

取得費を多く計上できれば、譲渡所得を圧縮でき、税額を抑えることができます。

 

こちらのページも参考にしてください。

国税庁HP:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

 

 

 

||相続空き家を取り壊した場合の3,000万円控除||

 

文字通り、空き家を相続し、更地にして売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円分を控除できる特例です。

適用するための要件が下記の5点です。

 

 

・相続開始直前まで被相続人の居住用の家であったこと

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること

・相続を開始した日から3年を経過する日が属する年の12月31日までの売却であること

・売却額が1億円以下であること

・耐震リフォームまたは建物を解体した状態で売却すること

 

 

ポイントは「売却時の空き家の状態」という事です。解体のタイミングなどを間違えないようにしましょう。

 

 

 

 

||平成21年・22年に取得した土地の1,000万円控除||

 

条件に該当する土地を売却する場合、譲渡所得から最大1,000万円が控除できます。

控除対象の土地は次のとおりです。

 

 

・平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に譲渡した場合

・平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に譲渡した場合

 

さらに

 

・親子や夫婦などの特別な関係から取得した土地ではないこと

・相続・遺贈・贈与・交換などで取得した土地ではないこと

 

 

こちらのページも参考にしてください。

国税庁HP:平成21年及び平成22年に取得した土地などを譲渡したときの1,000万円の特別控除

 

 

 

||相続した土地を売却する際に効果的な節税対策||

 

経費をできるだけ多く計上することで取得額を圧縮でき、節税が期待できます。節税に効果的な対策として「取得費用がわかる資料を準備すること」、「譲渡費用をもれなく計上すること」が挙げられます。

 

・取得費用がわかる資料を準備すること

取得時の売買契約書や領収書が必要です。相続の場合は特に、取得費が不明で概算取得費(売却額の5%)で計上するケースが多いですが、それではあまり所得を圧縮できません。

 

例)1500万円で土地を売却した場合

土地の購入代金や手数料の合計が1,000万円の場合、1000万円を控除できるところ概算取得費では75万円しか控除の計上ができません。

 

 

・譲渡費用をもれなく計上すること

売却価格から差し引ける経費は譲渡費用も含めます。

 

例えば

・仲介手数料

・負担した印紙税

・立退料や取り壊し費用

・名義書換料

・売買契約を有利な条件に換えるために支払った違約金 など

 

もれなく計上できるよう、領収書などはしっかりと保管しておきましょう。

 

 

 

いかがでしたか。

2回に分けて、相続した土地を売却する際にかかる税金、費用や節税方法に関してご紹介しました。

売却利益に対し、課税される譲渡所得税は税率が高いため、思いがけず高額納税となる可能性があります。譲渡所得税には様々な特例で控除できる場合があるため、条件を調べて節税しましょう。