【分かりやすく解説】相続手続きの流れ

2023年03月12日

今回は相続手続きの流れについてご説明します。

 

人が亡くなったら、様々な手続きをおこなう必要があります。もしも手続きを行わなかったり、期限に遅れた場合は後々トラブルになる可能性があります。

相続が発生した方や、相続が発生するかもしれない方は、相続に必要な手続きを一通り確認し、把握しておくと良いでしょう。

 

 

||遺産相続手続きの流れ||

 

相続の流れを下記にまとめました。

 

全て期間内にやらなければいけないわけではなく、あくまで目安である手続きに関しては、☆を付けています。

 

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1.死亡から7日以内

 

・死亡診断書の受け取り

・死亡届の提出

 

 

 

2.死亡から10日以内

 

・葬儀(☆)

・年金受給停止の手続き

 

 

 

3.死亡から14日以内

 

・健康保険の資格喪失届の提出

・介護保険の資格喪失届の提出

・世帯主変更届の提出

・生命保険金の受け取り(☆)

・金融機関への連絡

・公共料金や各種サービスの変更と解約(☆)

 

 

 

4.死亡から3ヶ月以内

 

・遺言書の確認(☆)

・遺言書の検認(☆)

・相続人の調査(☆)

・相続財産の調査(☆)

・遺産分割協議の開始(☆)

・相続放棄、限定承認

 

 

 

5.死亡から4ヶ月以内

 

・所得税の準確定申告

 

 

 

6.死亡から10ヶ月以内

 

・遺産分割協議書の作成(☆)

・各種の相続手続き(☆)

・相続税申告と納付手続き

 

 

 

7.死亡から1年以内

 

・遺留分減殺請求の手続き

 

 

 

8.死亡から2年以内

 

・葬祭費、埋葬料の申請手続き

 

 

 

9.死亡から3年以内

 

・税務調査への対応(☆)

 

 

 

10.死亡から3年10ヶ月以内

 

・相続税軽減の手続き

 

 

 

11.死亡から5年10ヶ月以内

 

・相続税の還付請求の手続き

 

 

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ざっとまとめるだけで結構たくさんの手続きや対応ありますよね。いくつか順に細かく解説していきます。

 

 

1.死亡から7日以内

 

・死亡診断書の受け取り

死亡診断書を病院に発行してもらいます。

死亡診断書は死亡証明のため、それがないと火葬や埋葬ができないのです。

死亡診断書はその後の手続きに必要になる場合があり、コピーを取ることをお勧めします。

死亡理由が明らかでない場合、死体検案書が作成されて、それが死亡の証明となります。

 

・死亡届の提出

死亡届は死亡証明書と一体で、用紙の右側が死亡証明書、左側が死亡届になります。死亡届の必要事項を記入したら、死亡届と火埋葬許可申請書を市区町村の役所に提出をし、火葬許可証をもらいましょう。それを葬儀社に提出すると、火葬の申込みが可能になります。ちなみに、死亡届は死亡した日から7日以内に市区町村役場に提出する必要があります。

 

 

 

2.死亡から10日以内

 

・年金受給停止の手続き

亡くなった方が年金受給者の場合、年起因の受給停止手続きが必要です。住民票の住所地管轄の社会保険事務所で行います。

厚生年金の受給手続きは死亡後10日以内、国民年金の受給停止手続きは死亡後14日以内です。

 

 

 

3.死亡から14日以内

 

・健康保険の資格喪失届の提出

国民健康保険に加入していた場合、亡くなった日から14日以内に国民健康保険資格喪失届を市区町村役場へ提出する必要があります。

もしも故人75歳以上の場合、後期高齢者医療資格喪失届を提出します。喪失届を提出する際は、健康保険証を返却します。

 

故人が会社員で健康保険に加入していた場合、亡くなった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を会社経由で年金事務所に提出する必要があります。

 

また、遺族が個人の健康保険の扶養に入っていた場合、保険証が使えなくなるため、国民健康保険に加入か、もしくは他の家族の健康保険の扶養に入ることになります。

 

 

・介護保険の資格喪失届の提出

介護保険の被保険者であれば資格喪失届を市区町村役場に提出する必要があります。要介護認定を受けていた場合は14日以内に介護被保険者証の返還も必要です。

 

・世帯主変更届の提出

亡くなった方が世帯主であった場合は、死亡後14日以内に世帯主変更届を市区町村役場に提出する必要があります。一般的には、死亡届を提出する際に世帯主変更届を一緒に提出しますが、残された世帯員が1人の場合や、もしくはその残された世帯員が15歳未満の子供とその親権者の場合、世帯主変更の手続きは不要です。

 

・金融機関への連絡

口座を凍結しないと、他の相続人が勝手に出金して使ったり、隠したりするということも可能性としてあるため、金融機関には口座名義人の死亡を連絡して、口座の入出金を止めてもらいましょう。

 

 

 

4.死亡から3ヶ月以内

 

・相続放棄、限定承認

相続放棄と限定承認の手続きの期限は相続があったことを知ったその日から3ヶ月以内に家庭裁判所で行います。その期間を過ぎると、単純承認をしたことになります。

例えば亡くなった個人に多額の借金があり、その借金を相続したくない場合は、相続人が弁済する必要がなくなるため、期限内に行いましょう。

 

限定承認とは、相続した遺産の中から債権者に借金を返し、残金があったら受け取ることができる手続きです。遺産よりも借金が上回っている場合、不足分を返済する必要がありません。ちなみに、限定承認は相続人全員で行う必要があります。

 

 

 

5.死亡から4ヶ月以内

 

・所得税の準確定申告

個人の代わりに確定申告をすることを所得税の準確定申告と言います。個人に所得あった場合、相続人が代わりに確定申告を行う必要があります。

故人が事業を行なっていたり、2000万円以上の給与所得がある場合、所得税の準確定申告が必要です。

準確定申告の言は死亡後4ヶ月以内です。

期限を過ぎると、通常の確定申告と同様、延滞税などがかかることがあるため注意が必要です。

 

 

 

6.死亡から10ヶ月以内

 

・相続税申告と納付手続き

相続財産が基礎控除額以下であれば相続税を申告する必要はないですが、基礎控除を超える場合、相続税の申告と、納付の手続きが必要です。

相続税申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

これを過ぎると、たとえ遺産分割協議が終わっていないとしても、延滞税などがかかりますので気をつけましょう。

 

 

 

7.死亡から1年以内

 

・遺留分減殺請求の手続き

一定の範囲の相続人に認められた最低限遺産を取得できる権利を遺留分と言います。

配偶者・子供・親など、一定の範囲の相続人には遺産の最低限の取得分が認められています。その遺留分に相当する財産を受け取れていない場合に請求する権利があります。

この請求のことを遺留分減殺請求(または遺留分侵害額請求)と言います。

遺留分減殺請求の期限は、被相続人の死亡と遺留分侵害の事実を知ってから1年以内です。

もしも遺留分侵害の事実を知らないまま10年が経過した場合、遺留分減殺請求ができなくなるので気をつけましょう。

 

 

 

8.死亡から2年以内

 

・葬祭費、埋葬料の申請手続き

故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していたい場合は、喪主に対して葬祭費が支給されます。

請求期限は葬儀を行なった日の翌日から2年以内です。

また、故人が会社員で健康保険に加入していた場合は、同じく喪主に対し埋葬料として5万円が支給されます。

こちらの請求期限は亡くなった日より2年です。

 

 

 

10.死亡から3年10ヶ月以内

 

・相続税軽減の手続き

相続税にはいろいろな軽減措置がありますが、遺産分割協議が長引いてしまい、未分割で申告と納税を行なった場合は、配偶者軽減や小規模宅地の特例などの税額軽減が適用されないのです。

未分割で申告と納税をした後、遺産分割協議がまとまり、相続税の修正申告や更正の請求の手続きをおこなう際に税額軽減を受けるためには申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出します。

申告期限後3年以内の分割見込書を当初申告時に提出し、亡くなってから3年10ヵ月以内に遺産分割協議をまとめ、その後4ヵ月以内に税務署に更正の請求をおこなえば、配偶者控除や小規模宅地等の特例を受けることが可能です。

 

 

 

 

11.死亡から5年10ヶ月以内

 

・相続税の還付請求の手続

相続税申告書の内容を見直し、税務署に払い過ぎていた分があった場合、返金してもらえます。

払い過ぎた相続税を取り戻すことを相続税還付といいます。

相続税還付が可能かどうかや、相続税申告書の内容を確認したい場合は専門家に相談しましょう。

 

 

 

ここまで一通りを書いてきましたが、ざっと見るだけでも確認事項、必須項目がたくさんあります。

 

いざという時のために流れを知っておき、必要であれば親族で話し合いや心の準備をしておくとよいでしょう。

また当社は、相続不動産の取り扱い事例も数多くございますので、必要な場合はぜひご相談ください。