賢く不動産を売却する方法

2025年03月20日

不動産を売却する場合、何が重要となるかというと、「適切な価格設定」「正確な手取り金額の把握」の2点が多いです。

 

今回の記事では、税金対策を含めた売却手順の説明と、可能な限り最大の利益を得られるための内容を書いていきます。

 

 

売却金額の決め方から、手取り金額の計算方法、そして諸経費までを把握することで、見落としがちな売却の具体例までをお伝えします。

 

税務上の工夫などもお伝えしますので、より賢い売却方法を実現しましょう。

 

 

 

 

||不動産売却の基本を理解する||

 

まず押さえるべき基本的な知識を押さえて、スムーズな取引はもちろん、適正な価格で不動産を売りましょう。

 

市場の動向を理解し、不動産の価値を正しく評価し、適切な売却計画を立てることから、売却の成功は始まります。

 

 

 

売却金額の決定要因

 

いくつかありますが、代表的なものは

 

・駅からの距離

・周辺環境

・教育施設の充実度

 

などの立地や

 

・物件の状態

・市場の需給バランスがあります。

 

 

立地に関しては、都心に住む人は「買い物の利便性や通勤のしやすさ」を重視し、郊外に住む人は「自然環境や地域の安全性を重視」しています。

 

 

 

手取り金額とは

 

売却金額と手取り金額は同じではありません。

 

大まかに言えば、売買代金ー諸経費ー税金=手取り金額です。

 

諸経費とは、印紙税、建物解体費用、仲介手数料や登記費用、抵当権抹消にかかる費用などです。

 

最終的な手取り金額を正確に把握しておくことは、売却計画を立てるうえで極めて重要です。

 

 

 

 

||不動産売却に関わる諸経費の内訳||

 

 

先述しましたが、不動産を売却する際には、様々な諸経費がかかります。

 

これらの経費は売却価格や手取り金額に大きく影響を与えるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。

 

仲介手数料、印紙税、登記費用といった経費が通常発生しますが、これらは売却額や物件の価値によって変動することから、事前の計算が求められるのです。

 

ここでは、これらの諸経費について詳しく解説していきます。

 

 

 

仲介手数料の相場

 

最も一般的な支払いの一つに仲介手数料があります。

 

これは、不動産仲介業者に支払う報酬であり、売却代金に応じた料率で計算されます。

 

通常、仲介手数料は売却価格に応じて法定上限が定められており、それは売却物件価格が200万円までは5%、200万円を超え400万円までは4%、400万円を超える部分に関しては3%と定められています。

 

さらに、消費税が別途必要になります。一般的によく言われているのが、『仲介手数料=物件価格×3%+6万円+消費税』という計算式です。

 

手数料をできるだけ低く抑える交渉は必要です。

 

また、仲介を頼むことなく、自分で買い手を見つけた場合は、この手数料は発生しませんが、トラブルもよく起こりますので注意が必要です。

 

 

 

印紙税の計算方法

 

契約書に貼付する印紙の代金です。

 

売買契約書にはこの印紙税が必要とされますが、その金額は契約金額によって異なります。

 

例えば、令和9年3月31日までに作られる不動産売買契約で契約金額が500万円を超え、1,000万円以下では5千円、1,000万円を超え、5,000万円以下では1万円と、契約金額に応じて印紙税の金額は設定されます。

 

この税額は数年ごとに見直されることがありますので最新の税率表を確認しましょう。

 

また、非課税となる場合もあるため、事前に専門家に相談したり、国税庁のウェブサイトを参照したりするなどして正確な情報を収集も必要です。

 

 

 

固定資産税・都市計画税の計算

 

物件の所在する自治体に年一回納付する税金ですが、売却時には日割り計算で精算します。

 

これらの税金は、1月1日時点での物件所有者(納税義務者)がその年の税額を負担することになり、売却がその後に起こった場合、売主と買主との間でその年度の残り期間分の税金を按分する必要があります。

 

精算の基本的な方法は、年額を365で割り、その日数分売主が負担することになります。

 

この計算を正しく行い、売買契約にも明記し、トラブルのないよう双方で合意することが大切です。

 

固定資産税・都市計画税の精算は、売買の成立をスムーズにするうえで重要です。

 

 



||不動産売却における税金と売却益||

 

不動産を売却した時の利益、つまり売却益には税金がかかります。

 

この税金は譲渡所得税と呼ばれ、物件を売った際の利益に対して課税されます。

 

しかし、所有期間によって税率が変わるなど、売却益に関する税金は複雑です。

 

売却する際にはこれらの税金との関係を理解し、適切な対策を立てていきましょう。

 

 

 

譲渡所得税の基礎知識

 

譲渡所得税とは、不動産の売却から生じる利益に対して課される税金のことです。

 

計算方法は売却価格から取得費や譲渡にかかる費用を引いた額が譲渡所得となり、それに対して税率が適用されるのです。

 

所得税と住民税の2種類があり、長期所有(5年超)と短期所有(5年以内)で税率が異なります。長期所有の方が税率は低く設定されています。

 

 

また、売却益の計算時には、取得費以外にも特別控除が適用されるケースもあります。

 

例としては、

 

・中古住宅の売却

・居住用不動産の売却

・物件を買い替える時の特例など

 

これらの特例を活用することで、実際に支払う税金を抑えることができるため、売却する不動産やその条件を正確に把握しておきましょう。

 

 

 

住宅ローン残高がある場合

 

売却益だけでなく住宅ローンの残高にも注意を払う必要があります。

 

通常、売却価格が住宅ローンの残高を下回る場合、売却することが難しくなります。

 

それは、住宅ローン残高(残債務)を全て返済しないと抵当権を外せないためです。

 

 

また不動産価格が上昇局面で、売却益が出る場合、住宅ローン残高を完済し、諸費用等を支払ってプラスマイナスゼロの状態では、譲渡所得税を支払う事が出来ないため、このケースも売却が難しい可能性があります。

 

そして、税務上は、ローン残高は取得費には算入されませんので、経費計上もありません。

 

不動産を売却する際には、一般的に住宅ローンの残債を一括返済する必要があります。

 

よって、売却後の資金計画を正確に立てることが極めて重要です。

 

売買代金で住宅ローン残高をカバーできるかどうか、また、売却益で、新たな住居への転居費用や税金が支払う事ができるかを考慮に入れた上で売却計画を策定することが求められるでしょう。

 

 

 

節税対策と売却時期

 

これは非常に重要で、まずは所有期間がポイントです。

 

所有期間が5年を超えると、譲渡所得税が長期譲渡所得となり、税率が低くなるため、節税効果が期待できます。

 

また、売却時期を調節することで、税金の支払いを翌年にずらすことも可能です。

 

 

 

居住用財産の特例など、売却する物件の種類や条件によって適用される優遇措置を活用することも有効です。

 

例えば、自宅を売却する際に3000万円の特別控除が適用される場合もあります。

 

適切な節税対策を講じるためには、税法の知識を持つ専門家に相談することをお勧めします。

 

税法は年々変更されることがあるので最新の情報を把握しましょう。

 

 

 

 

||不動産売却前の準備||

 

ただ販売するだけではなく、前もっての準備が重要です。

 

準備を怠ると、物件の魅力が半減し、望む価格での売却が難しくなるでしょう。

 

最適な条件で売却するために、綿密なリストアップと計画的なアクションが求められます。

 

 

 

リフォームで物件価値を高める

 

まず、築年数が経過している物件は、見た目の老朽化が気になるため、見栄えを良くすることが大切です。

 

例えば

・壁紙の張替え

・フローリングの修繕など

 

キッチンや浴室などの水回りは、使用感が出やすく、購入希望者の目につきやすいため、清潔感を重視して改修していく必要があります。

 

また、古い設備を最新のものに交換することで、省エネルギー性や機能性の向上が期待でき、これが価値の向上に直結するのです。

 

注意点としては、リフォームを行う際は、地域の市場価格やターゲットとする購入者層を考慮し、過度な改装は控えることがポイントになります。

 

結果として、投資したリフォーム費用以上の価値を生み出すことを目指して計画を立てるべきです。

 

 

 

査定額を上げるコツとは

 

清掃と整理整頓を徹底することで、第一印象を大幅に高めることができます。

 

また、不動産仲介業者への相談を通じて適切な相場価格を把握し、物件の強みをアピールするための準備をすべきです。

 

さらに、リフォームや修繕の履歴をまとめておくことで、物件の手入れが行き届いていることを証明できます。

 

これにより、購入検討者は安心感を持ち、価格の交渉余地が少なくなるでしょう。

 

築年数や設備の状態以外にも、地域環境や利便性などの情報を整理しておくことで、物件の付加価値を高め、査定価格に反映させることが可能です。

 

 

売り出し前に書類の整備をしよう

 

権利証または登記簿謄本、固定資産税評価証明などの公的な書類は必須です。

 

加えて、間取り図や設備の説明書、リフォーム履歴など、物件の特長を明確にする資料を用意しておくことも重要です。

 

買主が物件を購入する際に不安を感じないよう、これらの書類は整然として確認しやすい形で保管した方が良いでしょう。

 

また、自治体から提供される地域の開発計画や将来の公共施設の建設予定などの情報も集め、物件の将来性をアピールしましょう。

 

これらの書類を用意することで、売却の透明性が高まり、信頼関係の構築につながります。

 

 

 

 

||手取り額を増やす交渉術||

 

 

価格交渉のポイント

 

価格交渉を成功させるためのポイントはいくつかあります。

 

まず、市場の価格をしっかりとリサーチしましょう。

 

売却する不動産の真なる価値、公的に証明されている価値、そして将来性など、それを基に交渉に臨む準備をします。

 

次に、それらの価値を明確に買主に伝えることが重要です。

 

そして、相手に提供できるメリットを具体的に説明できるようにしてください。さらに、相手の立場を考えたうえで、双方にとって公平な価格を提案することも大切です。

 

譲れない線を持ちつつ、柔軟な対応を示すことで信頼関係を築き、お互いに満足できる取引をしましょう。

 

 

 

条件変更で注意する点

 

商談の過程でしばしば見落とされがちなのが、条件変更に際しての利益です。

 

例えば、収益物件を売却する場合、契約から引渡しの日までの期間を買主が希望する引渡し日より少し延ばす事で、その間の家賃が売主に入ってくるため、売買代金を下げた分の調整が可能になる事があります。

 

また、居住用不動産(中古戸建、中古マンション)の場合は、売買代金を下げる代わりに、契約不適合責任を免責としてもらうと、引渡し以後の故障や不具合などのトラブルを回避出来て、結果として、大きな利益を得る事ができるかもしれません。

 

単純に金額だけに注目するのではなく、契約上の条件や期日の変更で利益を得ることも考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

いかがでしたか。

 

賢く不動産を売却する方法について解説しました。

 

これらの知識や実践は、自分で学習していくことも大切ですが、不動産会社や税理士との連携やアドバイスもあった方が良いでしょう。

 

信頼できる不動産仲介業者は、これらの業務をスムーズに行い、売り手と買い手双方の利益を考慮した上で、最適な取引条件を引き出しますので、ぜひ話してみてください。